2020年4月現在、性感染症のひとつである「梅毒」の増加が止まらない状況にあるようです。
梅毒って古い時代の病気のイメージがあるかもしれませんけど、
近年、若い女性を中心に急増している「身近な感染症」です。
ここでは、梅毒が増加傾向にある状況と、その原因、理由について調べてみました。
自分の健康、また、将来生まれてくる子供たちの健康も、守っていきたいですね。
梅毒は増加傾向にありますよ!
なにはともあれ、まずは!梅毒が増加傾向にあることを確認しておきましょう!
ここでは、日本国内の梅毒患者の数、また、年齢別、地域別の梅毒患者の状況を紹介したいと思います。
梅毒患者の推移(年度別)
梅毒患者の年度毎の報告数です。
【年度:梅毒患者総数/0~4歳の梅毒患者の総数】で表記してみます。
2010:621/1
2011:827/5
2012:875/4
2013:1228/4
2014:1661/9
2015:2690/14
2016:4575/16
2017:5826/8
2018:7007/18
2019:6639/23
※厚生労働省HPより抜粋
↑2019年から10年さかのぼっての梅毒患者数です。
2010年以前の患者数も報告されていますけど、2012年(平成24年)までは、日本の梅毒患者数が1000人を超えることはなかったようです。
が!2013年(平成25年)に、年間1000人を超えると、その後は増加し続け、
2018年には、約50年ぶりに7000人を超え、2010年と比較すると約11倍という増加傾向なんですね。
また、0~4歳の赤ちゃん?の梅毒の報告数も確認してほしいのですが、
日本国内の梅毒患者の数が増えるのと同じように、赤ちゃんたちの梅毒も増えています。
梅毒は、基本、性交渉によって感染しますので、そう考えれば赤ちゃんたちには関係のない病気だと思われますけど、
赤ちゃんたちの梅毒は「先天梅毒」と言って、梅毒に罹った母親が原因となって感染するのです(母子感染率60~80%とも言われているようです)。
このように、近年の日本では、梅毒患者が増加傾向、急増している状況にあると言えます。
梅毒患者の年齢・男女別の推移
次に、梅毒患者の年齢別、男女別の推移を、グラフで見てみましょう。
資料として、日本全国のグラフがみつかりませんでしたので、東京都が公表しているグラフをお借りしました。
↑男性の年齢別の推移です。
30代、40代の男性が最も多く、20代、50代の梅毒患者多いですね。
また、やはり、2013年頃から患者数が急増していることがわかると思います。
↑2006~2019年の女性の梅毒患者の推移です。
水色の線が20代女性で2014年頃から急激に増加していることがわかると思います。
東京都感染症情報センターによる、東京都の実績ですけど、
男性、女性の梅毒の増加傾向、また、年齢別の罹患傾向は、全国的に同じ傾向にあると思われます。
都道府県毎の梅毒患者の状況
梅毒が増加傾向にあるデータ、最後に都道府県毎の状況を確認しておきましょう。
もちろん、人口の多い地域が梅毒患者が多い傾向にあります。
↑国立感染研究所の2019年のデータですけど、人口に対しての患者数(届け出数)が示されていて、
赤色が濃いほど、罹患率が高いということになります。
↑梅毒患者の多い上位10都道府県です。
やっぱり、人口の多い都道府県が多い傾向にありますけど、
↑の情報開示による、「発生率」の高い都道府県(←患者の総数ではなくて人口に対して発生率が高い)をピックアップしてみますと、
全国平均の「11.9」を上回っているのは、
- 31.0:大阪府
- 29.2:東京都
- 22.9:岡山県
- 19.5:愛媛県
- 17.4:鳥取県
- 13.4:熊本県
- 13.3:香川県
- 12.9:福岡県
- 12.7:三重県
- 11.9:徳島県
↑の10都府県です。
岡山県、愛媛県、鳥取県など、人口に対して、梅毒発生率が高い傾向にあると言えると思います。
以上、近年、増加傾向にある梅毒の状況です。
- 10年前の10倍以上
- 赤ちゃんも!
- 男性は20-40代が特に
- 女性は20代が特に
- 人口の多い地域だけに限らず
増加しています。
なお、梅毒が増加しているのは日本だけでなく、世界的にも増加傾向にあります。
梅毒の原因は?
梅毒とは、「トリポネーマ・パリダム(Treponema pallidum)」という原因菌(細菌)が病原体となる感染症です。
この細菌の生態は完全に解明されていないようですが、抗生物質はよく効くようで治療自体は難しくありません。
この梅毒の原因菌をもっている人から、原因菌をもらう(感染する)ことで、梅毒となるんですね。
感染経路は2つ。
- 後天梅毒
- 先天梅毒
です。
後天梅毒が、いわゆる性病と言われる、性行為が原因となり感染する梅毒です、
先天梅毒が、母子感染による梅毒です。
前述しましたように、母親が梅毒の原因菌を保有していた場合に、胎児に影響を及ぼすことがあるんですね。
生まれてくる赤ちゃんに、病気をうつしたくないですよね。
もちろん、梅毒となった原因は!?と考えたときには、女性だけの問題ではありませんよね。
パパが原因菌を保有している可能性もあるわけですから。
梅毒が増加している理由
梅毒が増加している理由はなんなのか、いろいろ調べてみましたけど、
梅毒が増加している理由について、確固たる結論には至っていないようで、
梅毒が増えている理由については、調査している段階にあるようです。
ただ!梅毒が増加しているのに、考えられている理由がいくつかあるようです。
それらをまとめてみますと、
- 性風俗産業
- 外国人旅行客
- 出会い系・マッチングアプリ
↑が、梅毒が増加している理由なのではないかと考えられているようです。
厚生労働省が公表している2017年時点での「梅毒発生の動向の調査」で報告されているんですけど、
「性風俗産業の従事者や利用履歴は増加傾向にある」とされています。
やはり、性風俗産業で梅毒が感染するケースが多いのが実態のようです。
また、外国人旅行客が増え、日本の性風俗店を利用することが増えた可能性があり、
梅毒が、国外から持ち込まれているという可能性がある、との説もあります。
→半世紀ぶりに7000人超・・・辛坊治郎が警告「梅毒患者が急増中!」
さらに、出会い系アプリ、マッチングアプリの利用率と梅毒の因果関係を調査している研究者によると、
これらの出会い系のアプリの利用が高い地域ほど、梅毒の患者が多くなる傾向にあって、
調査した研究者も「マッチングアプリの普及が梅毒を増加させている可能性が高い」としています。
これらの要因が、梅毒が増加している理由なのではないかと、継続して調査が続けられるとのこと。
しかし、これらは、あくまでも梅毒が増加傾向にある要因なのではないかと考えられていることであり、
直接的な感染は、直接的な性行為やオーラルセックスによりますので、
梅毒に感染しない、梅毒を感染させないためには、正しい知識と対応が必要になりますね。
まとめ
以上、ここでは、急増している梅毒の増加について紹介しました。
また、梅毒の原因、増加している理由についても紹介しましたけど、増加している理由の確定には、もうしばらくの調査研究が必要なようです。
ただ、感染は主に性交渉によって発生するわけですから、予防を考えた対応が必要だと思います。
個人的な考えですけど、自分だけのことでしたら、自己責任でなんとでもなりますけど、
パートナーはもちろんですが、赤ちゃんにまで影響を及ぼしたくないですよね。
梅毒という性感染症が急増しているということを知っておくことが、予防の第一歩だと思いますし、
その原因や、増加している理由を知っておくことも大事なことだと思います。
気を付けたいですね。
今回の記事が読んでくださったみなさんの気になる情報のお役に立てればうれしく思います。
最後まで読んでいただきありがとうございます。